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ライカは単なるカメラとは違う、
『カメラの象徴』といえるかもしれない モノクロのストリートスナップで知られる中藤毅彦さん。高いコントラストと粗れた粒子の作品で、中藤さんならではの世界を確立している。中藤さんといえば、コンタックスG2の愛用者としても有名だ。しかし実はライカも大好きとのこと。 「ライカはレンズを手にしたのが最初です。高校生のときにミノルタCLEを使っていて、ライブ写真を撮るのにテレ・エルマリート90ミリF2.8を買いました」 高校生でレンジファインダー機を使っていたとは、それだけで只者ではないことがわかる。そして大学生になって、ライカM3とズマリット50ミリF1.5を買った。 「当時はライカM6が発売されていましたが、高くて手が出ないので、中古のM3にしました。ただズマリットはクセのある写りで使いこなせなかったですね」 その後も現在に至るまで、M2、M4、M5、MPなど、様々なライカを手にしてきた。しかし作品撮りのメインはライカではなく、コンタックスG2だ。 「僕はバンバン撮るので、ある程度自動化されたカメラの方が使いやすいのです。M型ライカはフィルム交換が面倒ですし、AFもないですからね」 それでもライカを所有し続けるのはなぜだろう。 「ライカは多くの写真家に愛用されてきましたよね。桑原甲子雄さんとか、アンリ・カルティエ=ブレッソンとか。そうした写真家たちへの憧れが、ライカを手にしていたいという気持ちにさせるのです。僕にとってライカは、単なるカメラとは違う存在なんです。『カメラの象徴』といえるかもしれません」 ![]() それでもゆったりした気分で撮りたいときは、ライカを使うことも多いそうだ。 「オーストリアのウィーンでライカM2とズミクロン35ミリF2を買って、そのままそれで東欧を撮ったこともありました。気持ちに余裕を持った撮影では、ライカはいいですね。手にした感触は、やはり最高だと思います」 フィルムがメインの中藤さんだが、2013年にデジタルで作品を撮ることを目的としたライカを購入した。ライカMモノクロームだ。 「おそらく初めて本気で作品を撮るために買ったライカです(笑)。きっかけは、マグナム写真家のヤコブ・アウ・ソボル氏が撮ったライカMモノクロームのカタログ写真です。それを見たとき『これなら今までとは違う写真が撮れるのではないか』と感じました。今はこれで、主に東京を撮っています」 ライカMモノクロームで撮影すると、光と影により敏感になると中藤さんは語る。 「デジタルは背面モニターで確認できるせいでしょうか。光や影を活かした写真が撮りたくなりますね」 撮影したら、付属ソフトのNik Silver Efex Proを使い、粒状感をプラスするなどパソコンで仕上げていく。 「まだ試行錯誤の状態です。でも購入してから1年近く経ちましたし、そろそろ発表という形にしていきたいですね」 中藤さんが現在所有しているライカは、ライカMモノクローム、ライカM2、ライカDIIIの3台だ。 「ライカM2とライカDIIIは、どちらもパリで買いました。DIIIはブラックペイントが剥げないように大切に使っています。僕のせいで80年前のカメラをボロボロにしてしまうのは申し訳ないですから(笑)」 レンズはそれぞれズミルックスM 35ミリF1.4 ASPH.、ズミルックス35ミリF1.4、エルマー35ミリF3.5がついている。すべて35ミリだ。 「50ミリや28ミリもありますが、メインは35ミリ。僕は35ミリを基準にレンズをそろえています。ライカMモノクロームに古いレンズをつけることもありますが、やはり新しいカメラには新しいレンズが合いますね」 これまでのフィルムによる作品に加え、デジタルのライカMモノクロームでどんな作品を発表するのだろうか。中藤さんの作品からますます目が離せない。
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