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ライカだからこそ、受け継がれるストーリー
日本カメラ本誌の連載『Tokyo Camera Style』でお馴染みのアメリカ人写真家、ジョン・サイパルさん。2004年から日本に暮らし、日本語も堪能。現在は英語教師と写真家を両立させている。 「もともとは大学で美術を専攻していました。その中で写真を撮る授業があって、そのときの先生にとても影響を受けました。カメラを手にすると、どこへ行っても新鮮な感覚で見ることができて、これは面白い。それから写真にのめり込みました。先生にはアンリ・カルティエ=ブレッソンやウィリアム・クラインなどの写真を教えてもらいましたよ」 日本へは交換留学生として来日したのが最初。日本の文化が好きだったからだとか。 「西新宿のカメラ屋さんはよく行きましたね。その頃は、ニコンF2やF3を使っていました。1年で500本くらいフィルムを使ったかな。でも一眼レフは機動力がなくて。それでコシナのベッサR2を買いました。レンズは古いスクリューマウント。レンジファインダーは一眼レフより自由に撮れるように感じました。ライカを手にするのはそれからですね」 初めて手にしたライカは、ライカM6 TTL。しかし状態が悪かったとか。 「結局壊れてしまいました。ライカM6 TTLにはいい思い出がないですね」 そして現在も愛用している、シルバーボディのライカMPを購入した。 「ライカMPはすごく気に入っています。ライカM7はAEが付いていて便利なんですけど、電子シャッターですからね。ライカMPは機械式シャッターだから、もし電池がなくても撮影できる。安心感が大きいです」 レンズはズミクロンM f2/35ミリASPH。やはりシルバー仕上げだ。高校時代の先生が持っていたレンズを譲ってもらったそうだ。 「僕はもともとレンズの描写はあまり気にしない方なんです。でもこのレンズはよく写りますね。素晴らしいレンズです」 そして、さらにブラックのライカMPも購入した。こちらには、レンズはシルバーのエルマーM f2.8/50ミリをメインに使用する。 「シルバーのライカMPはファインダー倍率が0.58。だから35ミリをよく使います。ブラックの方は0.72。こちらは50ミリが多いです。気分で使い分けることもありますけどね。それとブラックボディにシルバーのレンズって、すごくカッコイイと思うんですよ。この組み合わせが好きですね」 2台のライカMPは、シボ革を昔ながらのバルカナイトにして、巻き上げレバーはライカM4のものにカスタマイズしている。 「ライカMPの巻き上げレバーはすべて金属で、長時間使っていると指が痛くなるんです。そこでプラスチックの指当てがあるライカM4のものに替えてもらいました。シボ革は名古屋の業者にお願いしました。ライカ純正の“アラカルト”ならぬ“ジョナカルト”ですね(笑)」 さらに最近、ライカM6も入手した。 「ネブラスカ大学の尊敬する先生から譲っていただきました。これもすごく気に入っていますよ。先生のライカを僕が受け継ぐ。ライカは長く使えるので、そうしたストーリーができます。それもライカが好きな理由です」 ジョンさんはライカM6を手にしながら嬉しそうに話す。それではデジタルのライカは使わないのだろうか。 「リコー GR DIGITAL IVは使っていますよ。でも基本はライカとフィルムですね。フィルムで撮影して、撮影済みフィルムが増えたらフィルム現像をする。それからベタ焼きを作って、それからプリント。一連のワークフローが出来ているんです。ライカもデジタルにして、そのワークフローをあえて崩すことは考えていません。僕にとっては、フィルムで写真を撮るのが自然なことなんです」
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