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世界的写真家集団
マグナム・フォト会長のライカ遍歴とは ロバート・キャパ、アンリ・カルティエ=ブレッソン、デヴィッド・シーモアなどが結成した世界的な写真家集団、マグナム・フォト(以下マグナム)。2011年から、そのマグナムの会長に就任したのが、イタリア出身のドキュメンタリー写真家、アレックス・マヨーリ氏だ。 マヨーリ氏は写真家の仕事、そしてマグナム会長としての仕事の他に、ミラノの近くにあるスタジオで年2回の写真教室も行っている。それもワークショップよりハイレベルなマスタークラスと呼ばれるもの。 「期間は6か月。まずは受講者の写真を徹底的に否定することから始まる。というのも、日本も含めて世界中の若い写真家の作品は、どれもどこかで見たような写真ばかりなんだ。僕のクラスにもブレッソンを崇拝する人が来て、写真もそっくり。影響を受けるのはいいけれど、マネはダメ。ブレッソンの作品はブレッソンの人生であって、彼の人生じゃないからね。彼には彼だからこその作品になるように、表現方法を教えていくんだ」 受講者はマヨーリ氏のアドバイスを受けながら、ひとつの作品集を作る。 「今は3回目だけど、最初のクラスを受講した人の中には、もう写真集を何冊も出版した人もいる。すでに結果は出てきているよ」 国籍は問わないとのことで、12人までの受講者が世界中から集まる。開催情報は、マヨーリ氏のウェブサイトで確認できるそうだ。 さてマヨーリ氏といえば、最新のライカMシステムのカタログを撮影していることでも知られている。もちろんマヨーリ氏もライカ好きだ。 「最初にライカを手にしたのは1992年。ライカを買えるだけのお金が貯まったので、ライカM6を手に入れたんだ。レンズはズミクロンM35ミリF2。僕は35ミリがメイン。F1.4のズミルックスは、当時非球面レンズじゃなくて、絞り開放の写りが好みじゃなかったんだ。でも非球面レンズのタイプが発売されて、98年にズミクロンからズミルックスに買い替えたよ」 ライカM6は、2002年まで使用したとのこと。 「2002年からデジタルになったので。当時はまだライカはM型デジタルがなかったから、日本メーカーのデジタル一眼レフを買った。でもこの頃のデジタルは写りが悪くて…。正直、良い印象はなかったね。ライカM9が発売されて、またライカを使うようになったんだ」 ところが今年1月、エジプトで撮影中にライカM9を盗まれてしまった。 「僕は治安の悪いところで撮影することが多いから、こういうこともあるんだ。もちろんライカはまた買うよ。ライカへの要望としては、もっと値段が安ければね(笑)。でも高くて当然なんだ。ハンドメイドだし、こだわって造られている。手にする満足感は最高だよね。フェラーリがどうしてあんなに値段が高いのかと同じことだよ」 フェラーリで例えるとは、イタリア人らしい言葉が返ってきた。
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