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われらライカ仲間
Vol.9
藤井 智弘
Tomohiro Fujii
インタビュアー
対談お相手
永嶋 勝美
Katsumi Nagashima
はじまりはライカR4。
広角レンズ中心になるにつれ、M型へ…

 写真作家であり、DGSMプリント(Digital Gelatin Silver Monochromeプリント=デジタルカメラから銀塩のモノクロプリントを制作する)の開発者で知られる永嶋勝美さん。ライカユーザーとしても有名だ。まずはライカとの出会いからうかがった。

「私が写真家に転向したのは1980年。そのとき35ミリカメラは、ニコンF3を買いました。以前からニコンF2を持っていたので、ニコンにしたのです。ライカの名前はもちろん知っていて、最初は憧れですね。その後ハッセルブラッドも買ったのですが、やはりライカを使ってみたいと思って手に入れました。当時の現行機は、レンジファインダーのライカM4-Pと、一眼レフのライカR4。買ったのはライカR4です。ライカは一眼レフからスタートしました」

 レンジファインダーのライカMシステムのイメージが強い永嶋さんだが、最初は一眼レフだったとは意外だ。

「レンジファインダーは、ファインダーの中央でしかピントが合わせられませんし、ボケもわかりません。使いにくいと思っていました」

 ライカR4Sも購入して、35ミリ一眼レフは、仕事はニコン、プライベートはライカと使い分けていたとか。

「コダックからT-MAXが発売されて、自分でデータを取りました。ニコンでは、Y1.5という薄いイエローフィルターを装着してコントラストを上げて、2号紙しかないバライタ印画紙の、コダックエクタルアに合わせていました。ところがライカだとフィルターなしでちょうどいいコントラストなのです。これには驚きました。一般的にはニコンのレンズは硬い仕上がり、ドイツレンズは柔らかい写り、と言われていたのに、実際は逆だったんです」

 1985年からヨーロッパの撮影を開始。90年代にはライカの専門誌「ライカフォトグラフィー・インターナショナル(LFI)」に作品が掲載されたが、それもライカRシステムで撮影した作品だそうだ。それではライカMシステムとの出会いはいつだろうか。

「レンズは50ミリより28ミリの広角を使うことが多く、被写界深度が深いので一眼レフでは正確なピント合わせが難しいと感じていました。しかしレンジファインダーだと広角レンズでもピントが合わせやすく、ビューファインダーも見やすい。それからですね。1988年にライカM6が発売されたので、それを買いました」

 50ミリ以上はR型、広角はM型と使い分けていたと永嶋さん。しかしR型は故障が多く、安心して撮影できない。また望遠レンズもほとんど使うことがないので、R型はすべて手放した。

「でもライカM6は壊れないですね。3台買いましたが、ノントラブルです。2台目は28ミリのエルマリート専用で使っていて、今も所有していますよ」

 現在の愛機は、フィルムはライカMPのアンスラサイトとハンマートーン。あえて限定モデルを選んだのは、シボ革がノーマルと異なり、手に馴染んで使いやすいからだとか。デジタルはコンパクトのライカX2、そしてM型は、ライカM8.2に始まり、ライカM9を経て、現在はライカM9-Pを使用する。レンズはズミクロンM35ミリF2とズミルックスM50ミリF1.4がメイン。どちらも現行のひとつ前のモデル。非球面より球面タイプが好みとのこと。

 永嶋さんはモノクロ作品が多いため、ライカMモノクロームの選択肢もあったはずだ。

「実は最初、ライカMモノクロームを買うつもりでした。しかし発売されたばかりで品薄状態。それでライカM9-Pなら在庫がある、というのでこれにしました。後でライカMモノクロームを買った知り合いに借りてテストしたら、最も明るいハイエストライトの階調再現がコダック製のCCDを使用しているライカM9-Pの方が好みだったのです。またモノクロにする場合も、カラーからモノクロ化した方が自分の好みの調子にコントロールしやすい。それで今もライカM9-Pを使用しています」

 デジタルでモノクロといえば、永嶋さんはデジタルネガから銀塩モノクロプリントをつくるDGSMプリントのパイオニアだ。

「デジタルネガは、プラチナプリントのように密着でプリントします。はじめは印刷用のOHPフィルムからヒントを得ました。インクジェット用のOHPフィルムを使ってネガをつくり、そこから銀塩プリントするのです。これにより、もしも将来、フィルムの生産が終わってもデジタルデータから銀塩プリントがつくれます。またネガが劣化していて、オリジナルがプリント1点しかない場合でも、DGSMプリントならハイクオリティの複製がつくれます」

 なるほど、DGSMプリントはこれからの写真の保存に大きな役割を果たしそうだ。

「銀塩バライタ印画紙に仕上げたプリントなら、90年や100年そのままの状態で保存できます」

 現在、ピクトリコから発売されているピクトリコプロ・デジタルネガフィルムTPS100の使いこなしのポイントをうかがった。

「DGSMプリントのワークショップを開催して見ていると、使い方はわかっても、うまくプリントできない方が多いですね。どのようなプリントをつくりたいのか、基準がはっきりしていないのです。ポイントは黒のコントロール。デジタルなら、階調が0~255までの数字でわかりますから、それを活用するのがおすすめです」

 銀塩もデジタルもエキスパートの永嶋さん。デジタルのライカで撮影した銀塩プリントの作品も、どんどん発表されそうだ。




  
 ライカMP アンスラサイト
 レンズはズミクロン35ミリF2
  
  ライカX2




Profile
Profile
藤井 智弘
Tomohiro Fujii
1968年東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。96年からフリー写真家となり、カメラ専門誌での活動や、国内、海外の街を撮る。ライカは97年購入のライカM3が初。現在はデジタルのライカM、ライカM9、ライカXバリオを主に使用する。2016年9月より、デザインオフィス(株)AQUAに所属。(公社)日本写真家協会会員。
(株)AQUA Webサイト
プライベートWebサイト
 
永嶋 勝美
Katsumi Nagashima
1953年、東京都出身。デザイナー、アートディレクターを経て1980年に写真家に転向。ファッション・静物を主とした広告写真を手がける。1982年より海外を歩きまわり作品を撮りはじめ、1989年よりパリを拠点に創作活動を開始。94年より写真作家活動に専念する。2011年DGSM Printを開発・公開する。現在は写真作家、アートディレクター、テクニカルアドバイザー、DGSM開発者としても活躍中。公益社団法人日本広告写真家協会正会員。
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