登録されている商品情報はありません。
 
    登録されている商品情報はありません。
 
われらライカ仲間
Vol.8
藤井 智弘
Tomohiro Fujii
インタビュアー
対談お相手
日野 真理子
Mariko Hino
ライカM8で撮影した作品を発表した写真展
『Memoirs~メモワール~』
 街中の路地を撮影する写真家、日野真理子さん。写真を始めたのは高校生の頃だとか。
「父がローライフレックスを所有していて、カメラや写真が身近にありました。父からオリンパスペンEESをもらって撮り始めたのが最初ですね。一眼レフは大きくて重くて、操作も難しいから、とペンにしたそうです」
 本格的に写真に取り組むきっかけは、友人の死だった。
「友人が突然他界したのです。人生は何があるかわからないな、と思い、それなら本当にやりたいことをやろうと写真を本格的に学ぶことにしました」
 だが日野さんは、写真の専門学校には行かず、桑沢デザイン研究所(デザインの総合的な基礎・専門教育機関、1954年設立)に入学した。
「写真だけでなくて、アート全体を学びたかったのです。そこで写真を含めたアートを教えてくれる桑沢デザイン研究所に決めました。当時はキヤノンAE-1と50ミリだけで撮っていました。お金がなくて、他には買えなかったのです。でも、それでカラーポジでの撮影や、モノクロの暗室作業などを勉強しましたね」
 また日野さんが本格的に写真の道へ進むことを決めたのは、ユージン・スミスの写真展を見たのもきっかけになっている。
「百貨店でユージン・スミスの写真展をやっていたので入ってみました。有名な水俣ではなく、『カントリー・ドクター』です。これに衝撃を受けました。しかもフォトストーリーという表現は、今まで見たことがありませんでした。これで自分も写真をやっていこうと決心しました」
 研究所では膨大な量の課題をこなしていたと日野さんは懐かしそうに語る。
「先生はみな現役のプロの方たち。それが写真を学ぶ上でよかったと思っています」
 その中で、先生のうちのひとりがライカを愛用していた。ライカとの初めての出会いだ。
「その先生は常にライカで撮影していました。それからですね、ライカに興味を持ったのは」
 だが同時にコンタックスにも惹かれていた日野さん。研究所入学翌年に、コンタックスRTSⅡ QUARTZとプラナー85ミリ F1.4を購入した。
「先生には『ライカを買いなさい』と言われましたけど。銀座のカメラ店でもライカを見て、すごく綺麗だな、と思ったんです。でもツァイスレンズも使いたくて、結局コンタックスにしました」
 研究所を卒業すると、デザイン事務所に就職した。そこで仕事として写真を撮るようになるが、しばらくライカから離れることになる。
「アパレルのディスプレイとか、毎日のように撮っていました。そこで仕事として写真を撮ることを鍛えられたと思っています」
 愛用していたRTSⅡ QUARTZは、ある日ぶつけて壊してしまった。修理代も高い。そこでコンタックスは諦めて、キヤノンを使うようになった。
「もう仕事はデジタルになっていて、EOS 10Dを使いました」
 ところが日野さんは、重い病気にかかってしまう。5年間の闘病生活が続いた。
「病気から5年経って、改めて写真をやりたいと思うようになりました。そして写真展をやりたいなと、考えるようになりました」
 まだ体力がなかった日野さんは、パナソニックのコンパクトデジタルを持って、スナップを撮り始めた。やがてプロ写真家たちと知り合い、そこから再びライカが浮かんできた。2011年、ついにライカを手にする。APS-Cサイズのコンパクト、ライカX1だ。
「すごく綺麗に撮れるので驚きました。強い逆光ではフレアが出てしまいますが、そのフレアも綺麗なんです。ライカってすごい!と感激しました。ライカX1は、今もお気に入りです」
 そしてM型ライカへ。
「ライカX1がすごくいいカメラなので、それならM型もいいカメラだろう、と。ライカM8を買いました」
 当時はライカM9が最新モデルだったが、あえてライカM8を選んだと日野さん。その理由を尋ねてみた。
「コダクロームのような色調がとても好きなのです。あの渋い色調が欲しくて、ライカM8にしました。ライカM8はレンズの前にUV/IRカットフィルターが必要だったり、高感度が弱かったり、ちょっと大変なカメラですが、欲しかった色が手に入りました」
 またライカM8の撮像素子はAPS-Hサイズ。焦点距離はフルサイズ換算で約1.3倍になる。つまり50ミリレンズは65ミリ相当だ。
「ちょっとだけ望遠寄りになるところも気に入っています。私は50ミリより、ほんの少し望遠が好きなんです。その点でも、ライカM8はぴったりですね」
 ライカM8で撮影した作品は、2014年にiia gallery(アイアイエーギャラリー)で、写真展「Memoirs~メモワール~」として発表された。
「写真展にいらしたある写真家の方が『ライカM8の色だね』とおっしゃってくれました。やはりわかるんですね。すごく嬉しくなりました」
 レンズはズミルックスM35ミリF1.4 ASPH.、ズミルックスM50ミリF1.4 ASPH.、エルマリートM28ミリF2.8 ASPH.、エルマー50ミリF2.8、そしてノクティルックスM50ミリF1.0だ。
「エルマーは軽快に持ち歩きたいとき用です。ノクティルックスは安いときに買ったのですが、いまだに使いこなせていないですね(笑)」
 現在はライカM6TTLも手に入れて、フィルムによる作品も撮っている。
「今もレタッチ技術や暗室技術などを勉強しながらの毎日です」
 日野さんの写真に対する情熱が伝わってきた。


 
 現在鋭意テスト中だという、ライカM6TTL
    
   日野さんが最初に手にしたライカX1




Profile
Profile
藤井 智弘
Tomohiro Fujii
1968年東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。96年からフリー写真家となり、カメラ専門誌での活動や、国内、海外の街を撮る。ライカは97年購入のライカM3が初。現在はデジタルのライカM、ライカM9、ライカXバリオを主に使用する。2016年9月より、デザインオフィス(株)AQUAに所属。(公社)日本写真家協会会員。
(株)AQUA Webサイト
プライベートWebサイト
 
日野 真理子
Mariko Hino
東京生まれ。1987年度桑沢デザイン研究所を卒業。写真とビジュアルデザインを学ぶ。在学中に広告デザイン事務所と写真事務所でアシスタント。卒業後、グラフィックデザイナー、大手アパレルのウィンドウディスプレイデザイナーを経て、現在フリーランスの写真家。2014年にiiaギャラリーにて写真展『Memoirs』を開催。
対談お相手
アレックス・マヨーリ
河田 一規
北井 一夫
コムロ ミホ
清水 朝子
ジョン・サイパル
鈴木 信彦
大門 美奈
中藤 毅彦
永嶋 勝美
日野 真理子
藤里 一郎
バックナンバー
Vol.12 (2016/11)
Vol.11 (2016/07)
Vol.10 (2016/01)
Vol.9 (2015/07)
Vol.8 (2015/04)
Vol.7 (2014/10)
Vol.6 (2014/07)
Vol.5 (2014/04)
Vol.4 (2013/12)
Vol.3 (2012/10)
Vol.2 (2012/05)
Vol.1 (2012/04)
RSS RSS