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ミノルタ
ディマージュ RD3000
奇機械会
ミノルタ ディマージュ RD3000
 1996年。写真業界が大きく動いた。アドバンスドフォトシステム、APSの略称で知られる新しい写真規格が登場したのである。コダック、フジという巨大フィルムメーカーに加え、キヤノンやニコンなどカメラ界の巨頭までもが一致団結した、いわば写真界総動員体制での新写真システムがAPSだったのである。フィルム・カメラに新製品が大量投入され、ラボも体制を整え、さあこれからの写真はAPSですよ、というほどに力の入った宣伝があれこれ繰り返されたのである。ところが、この巨大写真改革APSは、現在では見事なまでに消えてしまった。核となる24ミリ幅のカートリッジフィルム(IX-240)はもはや生産されていないのである。なんという短命!
 APSにかけた夢を、すべて木っ端微塵に打ち砕いたのは、もちろんデジタルである。
 デジタルカメラの革命児、カシオQV10のデビューはAPS登場より1年以上早く、巨大なAPS組はすでに始まっていたデジタルという時局に為す術なく葬られていった。

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(写真1)ミノルタ ベクティスS-1
 ところで、短命であったAPS機だが、そのなかでもひときわ輝いていたシステムがあった。ミノルタのベクティスS-1(写真1)である。APS仕様のレンズ交換式一眼レフはキヤノンやニコンからも発売されたのだが、それらは既存のEFマウントやFマウントを継承、というよりは流用したもの。それ故にフランジバックが必要以上に長く、光学面でも不利、そしてコンパクト化にも障害となっていた。ところが、ミノルタのベクティスS-1はレンズ・ボディ共に新規設計でのデビュー。マウントは専用の「ミノルタVマウント」。AFはレンズ内モータ専用となり、機械連動部は無い。このマウント部にもOリングが処置され、ボディのみならずレンズもJIS保護等級2クラスの防塵防滴となっていた。
 山岳を主とするフィールドでの撮影が多い僕にはこの防塵防滴は大きな魅力であり、ついには・・・少々価格が下がった頃に新品で購入したのである。で、一時期はサブシステムとして重宝した。ココで使い込んだ人として、その欠点を記しておこう。

その1:広角側が不足。交換レンズは多種用意されたのにもかかわらず、広角側はズームの22ミリ止まり。APSの22ミリは35ミリフィルム規格で約28ミリ相当。
その2:フィルムの種類が少ない。発売されたのがフジのRDP相当のポジフィルムで1種類だけというのは、お仕事用として非常に厳しい。システム自体が小型軽量なうえVレンズは上等な描写なので何とか後継機を・・と願っていたのですが・・・

 それにしても、このVマウントのレンズたち、何とか使えないかな?そこで、いよいよ今回の本題となる「ディマージュRD3000」である!
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 「ディマージュRD3000」は1999年秋の発売。ミノルタVマウントのレンズ交換式デジタル一眼レフカメラである。150万画素の1/2インチCCDを2枚使用。ハーフミラーで分離して二板で撮像、それを合成して270万画素相当を出力、という独自方式に注目。ファイルはTIFFとJPGのみで、残念ながらRAWでの記録はなし。電源は単三4本とリーズナブル。そしてコレはすごい!と思ったのは、広告に使われた写真の鮮やかさ。そしてやっぱり価格。そりゃあ、同時期のニコンD1に比べれば半額ほどの36万円。とはいえ、ニコンユーザーとベクティスユーザーでは、ちょっと懐事情が違うのではなかろうか。(あ、一応ニコンユーザーでしたけれどもね、F5でアップアップ状態でした)というわけで、当然新品購入はあっさりお見送り。やがて現れるだろう普及期クラスに期待を胸にふくらませていたのだが・・・
 その後現れたのはαスイートデジタルやα7デジタルという、Aマウント系一眼レフ。(ちなみに、αスイートデジタルはずいぶん使い倒しました。よいカメラでした)一方のVマウント系はすっかり蚊帳の外状態のまま、ミノルタはコニカと合体したものの、あっという間に民生用カメラ部門が消滅。怒涛渦巻く展開の結果、α系はソニーさんが継承したものの、Vマウントは無かったモノ状態。残るのはAだけでよいのか?AとVは揃い踏みじゃないとまずいのではないか?・・・などと嘆き悲しむ間もなく、いよいよAPSフィルム自体もチーンと終焉を迎えたのである。嗚呼、なんということか。VのみならずAもPもSも終わりか・・・わけのわからん男魂の嘆息を遺漏し、絶望の淵をのぞきこんだ刹那にフット思い出したんですよ、RD3000。
 そして数年前。某オークションにてRD3000と数万円で遭遇。こりゃあ縁起が良いぞ!と、ポチってしまった。久々のVである。ただ、初めて現物を見て驚いたのなんの。筐体は剛性感たっぷりのマグネシウム仕様。そこは偉いところだが、そのなんとも四角いゴロゴロ存在感のグラマラスボディにはちょっと腰が引けてしまう。ボディ後ろの張り出しが半端ではなく、まるでサイコロのようなカメラ。いやいや、サイコロはこんなに大きくない。丁でも半でもどちらでもよいから、せめて特盛丼に入るぐらいの大きさであって欲しかった。そして、このなんとも不器用にでかい巨大なサイコロのど真ん中に開いたVマウントがなんとも小さな径なこと。レンズを付けても、見た目のバランスがどうにも悪いのである。
 まあ、そんな第一印象はどうでもよい。早速使ってみると・・・ホールド感は悪くない。取り回しは案外軽快だが、予想に違わないのはなんとも言えぬモッサリ感。AFも書き込みも、ちょっと遅い。いや、かなり遅い。背面液晶での画像確認も、うーむとあくびが出るほどに遅い。でもいいんです。Vマウントレンズが使えるのですから。それだけで許す。もはや、美人って得ですねみたいな許し方に落ち着くのだから、それがこのカメラの美点ということになろうか。

(写真2)ミノルタV 17ミリ F3.5 RD

 なお、このRD3000にはシステムパッケージなる60センチ角ぐらいのダンボールに梱包された、いわばコンプリートキットも発売されており、そこには専用の17ミリレンズ(写真2)がセットされていた。この17ミリ、RD3000とセットでしか販売されなかったレンズなのでレアである。ある時期までは単体で中古に出ると相当高価であったのだ。しかもRD専用と言われているのに、ベクティスS-1にも使用できるというレンズ。ベクティス使用時にもほしいレンズだった。
 というわけで、初代RD3000を手にした数年後、この17ミリ欲しさに、「システムパッケージ」を中古購入。ああ、ゴロゴロが2台でますます我がカメラスペースが減ってゆく、と嘆いてはいますが、その一方で元値の1/20以下という価格に、密かにニンマリ。もちろん、17ミリもゲットして、表情はデレデレになったのである。
 なお、どうやら、このほとんど売れなかったRD3000にもバリエーションがあったようなのだ。僕の手元にある2台のうち、最初に手に入れた1台には「FOR SONICTECHNO」(写真3)というシールが貼られていた。このソニックテクノという会社は、歯科用口腔撮影の為の会社である。どうやら、歯科用のカメラという前歴を持っているようなのだ。とはいえ、外観にはそのシール以外に相違点はない。僕が探せた唯一の違いはファインダースクリーンである。比較的シンプルなRD3000のファインダー表示だが、ソニックテクノ仕様には、スクリーン上に大きく十字が描かれている。(写真4)構図決定の手助けにするためだろうが、RD3000はスクリーンが交換仕様ではないので、ちょっと貴重なのだ。

(写真3)「FOR SONICTECHNO」のシール
(写真4)スクリーン上に大きく十字


 さいごに余談。
 せっかく揃えた2台のRD3000だが、今回のために撮影を重ねるうちにソニックテクノ仕様がついに壊れてしまった。やれやれ。
 撮影した画像の半分が暗くそのうえピンぼけとなる。(写真5)どうやらRD3000自慢の2枚CCDの1枚がずれてしまった様相である。
 残りの1台にはぜひぜひ板ずれを起こすことなく、ブイブイ頑張り続けてほしいものである。

(写真5)CCDがずれ、撮影した画像の半分が暗くそのうえピンぼけとなってしまう



ミノルタV 17ミリ F3.5 RD・F16・1/180・ISO200相当(固定)TIFFで保存。

淡い黄色に咲く三椏の群落。広角系が弱点であったベクティスのレンズラインナップに加わった17ミリの優れた描写が光る。このレンズ、手触りの質感も良いのです。また、レンズ銘に唯一RDの名がついている。
ミノルタVマクロ 50ミリ F3.5・F8・1/45・ISO200相当(固定)TIFFで保存。

早春の山菜。フキノトウ。50ミリはRD3000用では唯一のマクロだが、柔らかさの中に芯がある描写。RD-3000は感度が固定なので、当然三脚とリモコンを併用した。
ミノルタV 22-80ミリ F4-5.6・F6.7・1/180・ISO200相当(固定)TIFFで保存。

愛機のZ200号。何だか気の抜けたとりあえずのスナップという感じ。標準ズームの望遠域で。おとなしい描写である。


ミノルタ ディマージュ RD3000のスペック
形式=記録メディア交換型液晶モニター内蔵レンズ交換式一眼レフデジタルスチルカメラ
画像素子=1/2インチ145万画素プログレッシブCCD×2
有効画素数=145万画素×2,合成後270万画素
ISO感度=200相当(ゲインアップモード時ISO800相当)
露出モード=P/A/S/M
測光方式=TTL開放多分割測光(14分割ハニカムパターン測光)・スポット測光
シャッター=P/A/Sモード 1/2000-2秒 Mモード1/2000-30秒
ファインダー=TTL一眼レフレックス方式 リレー光学系サイドファインダー 全面アーキュマット
視野率=横94% 縦95%
ドライブモード=単写と連写(秒1.5コマで5秒まで)
電源=単三ニッケル水素4本
大きさ=150(幅)×117(高さ)×101ミリ(奥行き)
重さ=910グラム(電池・レンズ・CFカード別)
三宅 岳 -みやけ がく-
1964年生まれ。
神奈川県の最北、旧藤野町で楽しく暮らしている。山の写真、自然の写真、そして林業の写真を中心に撮影する写真家。現在のメインカメラはシグマSD1とペンタックスK-3。著書に「炭焼紀行」や「アルペンガイド丹沢」などがある。一方で、写真機やレンズなどに偏愛の傾向があり、とくに国産中級機やペトリ、ミランダ等、消滅したブランドに怪しい情熱を傾けている。
http://homepage3.nifty.com/GAITEN/
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