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菅原一剛さん
15
ディアドルフ8×10
 ぼくが初めて、この「ディアドルフ」という木製の大型カメラのことを知ったのは、学生時代に見た写真展で、かのエドワード・ウェストンが使用している姿が写された写真を見た時でした。一目見て「格好いいなあ」と思っていました。そして当時より、もちろん現在でも大好きな写真家ウェストンと同じカメラを、いつか使ってみたいと夢見ていました。
 最初に使用したカメラは、現在でも現役として使用している「ニコンF」。ぼくは大学を卒業後、このカメラを持ってパリに行き、自身の写真を撮るのと同時に、その「ニコンF」で、仕事としてファッション撮影を始めました。ぼくはその仕事で手にすることが出来た最初のギャランティーで、遂に「ディアドルフ8×10」を、これもまたウェストンが使用していたものとほぼ同じ「コダック・コマーシャルエクター」というレンズと共に、念願の「ディアドルフ」を手に入れました。当時の銀一カメラの担当の方の「菅原くん、まずはハッセルを買ってからにしたら」というアドバイスを聞かずに、いきなり2台目のカメラとして、大型カメラを購入したのですから、まさに若気の至りです。
 そしてぼくは、その大きなカメラを一人で担いで、奈良に始まり、国内外での撮影を繰り返しました。同時に、ファッション写真や広告写真といった撮影でも、とにかくこの大型カメラを頻繁に使用しました。その後、1999年より始めた「湿板写真」も、やはりこの「ディアドルフ」と共にスタートしました。そのおかげで「8×10」のカメラは、硝酸銀で真っ黒になっていますが、今では、「5×7」に「4×5」と、「ディアドルフ」のすべてのラインアップが、様々なシーンで活躍してくれています。
 カメラというのは不思議なもので、手に馴染むものと馴染まないものがあります。先述の「ニコンF」にしても、10数年前から使用し始めた「ライカM3」なども、ぼくにとっては他のモデルよりも、なんとも手にフィットします。同じように「ディアドルフ」という大型カメラも、他の大型カメラにはない、独特のラフな感じが、ぼくにはとてもよく手に馴染んでいます。どうやら、カメラという道具がどんなに便利なものになろうとも、やはり手で触るものに変わりはないのですから、その写りの描写と共に、ますますこの手触り感が大切なものとなるのかもしれませんね。

アフリカにて、サバンナを見渡すことが出来る大きな石場の上で、ぼくは毎朝ディアドルフで、大地と空の写真を撮っていました。


奄美大島にて、奄美の木漏れ日の写真を、なんとしても写したくて、湿板写真にて撮影を繰り返しました。その時のカメラも、このディアドルフです。

©菅原一剛

今回の語り手プロフィール
菅原一剛
Ichigo Sugawara
1960年札幌生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業後、早崎治氏に師事。フランスにて写真家として活動を開始して以来、数多くの個展を開催。1996年に撮影監督を務めた映画「青い魚」は、ベルリン国際映画祭に正式招待作品として上映される。また、広告写真やCFの撮影監督をはじめ、アニメ「蟲師」のオープニングディレクターを務めるなど、従来の写真表現を越え、多岐にわたり活動の領域を広げている。2013年、作品集「Daylight | Blue」上梓。書籍化されたコラム「写真がもっと好きなる。」は、現在も「ほぼ日刊イトイ新聞」にて連載中。
http://www.1101.com/photograph/
http://www.ichigosugawara.com
 
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