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広川泰士さん
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エボニーワイド8×10 Hirokawa spesial
 愛着のあるカメラと言えばローライフレックス(プラナーF2.8)です。写真を始めた頃からの日記帳のようなコンタクトプリントファイルを見直してみると、長男が生まれた翌年の1980年辺りからスクエアな画面のコンタクトが多くなっています。購入当時、新品のように綺麗で高額なものを中古カメラ店で見つけ、その出会い以来、何処へでもサブカメラとして必ず一緒です。今ではかなり年季が入りあちこちキズだらけですが、問題なく使えていて名機であることは間違いありません。
 でも、ここではローライではなく世界に2台しかないカメラの話をします。
 1989年から2001年迄12年間かかってまとめた『Time scapes-無限旋律-』、2002年に東京都写真美術館で写真展が開催され、写真集も刊行されましたので、ご存知の方もいらっしゃるかも知れません、オーストラリア・トルコ・U.S.A.・オマーン・シリア・ヨルダン・モンゴル・ボリビア・チリ・ナミビア・エジプト・パキスタンなど世界中の砂漠乾燥地帯に出かけ、8×10のカメラで昼と夜の長時間2重露光をして巨岩と星の軌跡を写し込むと言うものです。
 これは1度カメラとフィルムをセットすると、その場所を最低24時間動けません、月の無い時期に昼夜共曇らない事が条件なので、撮影中曇ってきたら中止、また24時間待つ、こんなことの繰り返しです 。
 3日間同じ場所でカメラもそのままで待ったこともありました、街の明かり等、文明の光は大敵なので真っ暗な荒野に寝袋のみ、空をチェックしながらなのでテント無し。日本へ帰って現像するまで写っているかどうか判らないのと光線引きや風によるブレ、気温差によるフイルムの伸び縮み等の事故があるのでバックアップでカメラは2台使用します。
 初期の頃のカメラはデュアドルフを使っていました。可動部分を小さな万力で締め付けて、このカメラは今でも使っていて名機だと思いますが、可動部分が多く、結局この撮影には向いていませんでした。いろいろなカメラを模索している時にエボニーワイドに行き着き、使用しましたが、この撮影条件のハードルを越えることは出来ませんでした。
 足繁くエボニーへ通い、坂梨氏に相談するうちに、この撮影に特化したカメラを作って頂くことになりエボニーワイド8×10ヒロカワスペシャル1(モデル名を付けるとしたらこう言うことでしょうか?)が出来ました。可動部分を少なくして箱型で折りたたみが出来なく、横位置のみ、金属部分は肉厚のチタン、ネジも大きくしっかり締まるものになりました、大きくて重いのは覚悟の上。

ナミビアにて

 お陰様で暫くは順調にいっていましたが、1998年アフリカのナミビアで運転していたランドクルーザーを転倒させ、全損になる事故を起こしてしまいました。3回転するうちにガラスは破れ荷物は全て投げ出され、カメラもひと目で狂いが出ているのが判りました。なんとか手持ちの工具で狂いを修正して撮影に出掛けましたが、自分の肋骨が3本折れていて野宿で寝起きする動作が苦痛でした。
 そんな事があり、またまたエボニーの坂梨氏に相談、今度は車がひっくり返ってもビクともしないやつと言うことで、更に頑丈なエボニーワイド8×10ヒロカワスペシャル2が誕生したわけです。
これはさすがにシッカリしたものになりました。チタンは倍の厚み、木部も厚く全て黒檀、重いです。でも一晩中吹かれる砂嵐にも耐えられました。
 坂梨さん。度重なる無理難題に真摯に対応して頂き、精度の高いお仕事を有り難うございました。この記念碑のようなカメラと、ジッツオを2セット担いで久しぶりのTime scapesを撮影しに2014年、2015年に富士山頂へ行ってきました。
 6人の若者と一緒に。

遮光、遮熱の為のチタン製カバーを装着した状態。


Timescapes #50 Shizuoka Japan

Timescapes #44 Atacama Chile

BABEL-Ordinary Landscapes-#4 Shizuoka Japan

©広川 泰士

今回の語り手プロフィール
広川泰士
yasushi hirokawa
1950年神奈川県生まれ。広告写真、TVコマーシャルなどで活躍する一方、ザルツブルグ、パリ、ミラノ、アムステルダム、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルス、ヒューストン、シドニー、東京他、世界各都市での個展、美術展への招待出展多数。講談社出版文化賞、ニューヨークADC賞、文部科学大臣賞、経済産業大臣賞、日本写真協会賞、日本映画テレビ技術協会撮影技術賞、A.C.C.ゴールド賞、A.C.C.ベスト撮影賞、東川賞国内作家賞 他受賞。プリンストン大学美術館、ロサンゼルスカウンティ美術館、サンフランシスコ近代美術館、フランス国立図書館、ミュンヘンレンバッハハウス美術館、神戸ファッション美術館、東京都写真美術館、東京国立近代美術館 他に作品がコレクションされている。
主な著作物に『BABEL -ORDINARY LANDSCAPES-』 他多数。
http://hirokawa810.com/
 
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